たった数時間ほど前、野村謙二郎の引退試合が終わった。真っ赤に染まった市民球場、カープファンのパワーはすごいが、そのファンを惹きつける野村謙二郎、本当に素晴らしい選手だった。
年齢、ボロボロの体、2000本安打達成、更には新井・栗原などの成長を考えれば、引退は自然な結論かもしれない。おれ自身も、ここ数年は、走れない野村は要らない、引退しかないだろうと思っていた。
しかしいざあらためて野村がユニフォームを脱いだら、何か不思議な気持ちになった。もちろんさみしいし、涙が止まらないけど。あまり実感が無い。
思えば小さい頃、常にチームを引っ張ってきたのが野村だった。小3か4の時に父親に連れられて初めて行った市民球場での、あの野村のサヨナラタイムリーの打球・大歓声、今でも鮮明に覚えている。初めてサインをもらい、初めて握手をしてもらった野球選手も野村だった。
思い切りの良い打撃・走塁、その勝負強さ、マウンド上での励ましやアドバイス、そして炎のヘッドスライディング。闘志あふれるプレーの1番ショート野村は、おれの憧れそのものだった。野球が下手なおれだったけど、常に1番ショートを理想に置いてきたのは、今気づけばやはり野村の影響だろう。おれにとってのミスター赤ヘルは、間違いなく野村だった。そして、野球の楽しさを教えてくれたのも、間違いなく野村だった。
引退試合でも、小さい頃の憧れそのままに、走・攻・守と、アグレッシブなプレーを見せてくれた野村。特に4回だっけ、種田のゴロをさばいたプレー。もう1度、ショート野村のプレーを見れたうれしさ、そしてこれが最後という悲しさで、涙が止まらなかった。
今までカープには野村がいて当たり前だったが、これからは当たり前だった存在がいなくなる。数年後、また市民球場で胴上げされる野村を見たいが、それは置いといて、来季から劇的に変わるであろうカープに期待したいと思う。本人も分かっているだろーけど、いくら佐々岡や緒方、前田がいるとは言っても、これからは新井クンがチームを引っ張っていかなければならない。プレースタイルは違えど、ファンを惹きつける、同じ何かを持っている新井クンに、個人成績だけではなく、そういった面でも来季は期待したい。
最後に…ありがとう野村謙二郎!これからも野球という素晴らしいスポーツを愛し、カープを応援していくから、またいつか必ず市民球場で勇姿を見せてくれ!
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